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ポーランドのクリスマスイブの食事

masato65

「ポーランドのクリスマスイブの食事(Wigilia Bozego Narodzenia)」 著:マウゴジャタ

スラブ世界研究所フェロー、通訳(日本語・ポーランド語・英語)、観光ガイド、エッセイスト  皆様、おはようございます。ご体調は如何でしょうか。お変わりございませんか。

先日、ポーランドではクリスマスが祝われていました。クリスマスイブ (12月24日)について少し書きたいと思います。

私のクリスマスイブのテーブル

 キリストが生まれる大事な日の前日なので、料理や掃除をするだけではなく、精神的な準備も必要です。精神的な準備のほうがはるかに重要なようです。 したがって、クリスマスの前夜は、キリストの降誕を見逃さないように祈って、目を覚まし続けないといけないことです。「イブ」はポーランド語ではWigilia(ヴィギリャ) といいます(ラテン語の単語vigilareの意味のうち一つは、 “何か見逃さないよう目を覚まし続ける“という意味)。様々な教会行事の「ヴィギリャ」が多いですが大文字で表記されるのはクリスマスイブのことのみです。現在では、復活祭のイブ(復活祭前日:食事の内容は決まっておらず、食事は関係ない)とクリスマスイブ以外は通常祝わないのが通常です。



 クリスマスイブの夕食は重要です。肉は食べませんが、“貧しい食事、粗食”を意味するものではありません。 かつて昔、その年の畑と森で採れた穀物、野菜や果物などを盛り込んだ料理がテーブルに出されました。使われる食材には意味があります。たとえば、蜂蜜は力を与え、ケシの実は安眠と豊饒をもたらし、ナッツは知恵を高め、そら豆とキャベツの料理は力と健康の象徴でした。 伝統によれば、使徒が12人いたので、クリスマスイブには12種類の料理が必要だとされています。 現在、家族のメンバーが少ない場合は、それほど多くの料理は作らないです。食べきれないと、捨てることになるからです。私は捨てないために食べきれる分だけ用意します。夕食はスープから始まります。以前は魚、アーモンド、亜麻仁、フルーツのスープでした。現在は、主に小さい餃子入りの赤いレッドビートスープあるいはキノコスープが中心となりますが地方によっては魚スープ、ドライフルーツスープ(ソラ豆入りのバージョンもあり)または白いバルシュチュというスープがでます。


小さな餃子入り赤ビーツのスープ

 その他の料理は、いろいろな穀物をさまざまな方法で調理したものです。例: ソラ豆と穀物、キノコと穀物、穀物と芥子の実など入りの料理です。芥子の実も非常に重要な食材です。芥子の実入りヌードルとかクティアの材料として使われます。クティアは、生命と成長の象徴である小麦、安定した深い眠りのシンボルであるポピー、そして甘さと純粋さ、悪に対する勝利の象徴である蜂蜜で作られています。

ソラマメ入り発酵キャベツ料理
クティヤ

 魚も大事なクリスマスイブ料理の材料です。当初、魚は海辺の村でしか食べられませんでした。 魚はキリスト教の象徴です。 最初のクリスチャンのしるしでもあり、イエス・キリストを象徴しています。 かつてはニシンとパイクが主でしたが、今日は鯉(鯉炒め、鯉と野菜の煮込み料理、鯉の煮凝り)とニシン(油漬けと酢漬けのニシン)が最も人気です。

クリスマスイブの主なケーキは、芥子の実入りケーキ、チーズケーキとジンジャーブレッドです。


鯉炒め
鯉の煮凝り

 クリスマスイブの独特な飲み物は、ドライフルーツで作られた飲み物です。

ドライフルーツの飲み物

 現在、一番有名でよく作られるクリスマスイブ料理はキノコ入りキャベツ料理(キノコ入りのビゴスbigos)、ソラ豆入りキャベツ料理、発酵キャベツ入り餃子、発酵キャベツとキノコ入り餃子、キノコ入り餃子です。【キャベツは主に発酵したものです(ザワークラウト)。】

発酵キャベツとキノコ入り餃子

 肉を食べないのは24日のクリスマスイブのときだけです。12月25日からは何でも食べます。

ソラマメ入り発酵キャベツ料理

 ポーランドの習慣では、クリスマスイブの料理は断食の食べ物の一種です。つまり肉がなく、動物性脂肪を使用せずに作られたものでなければならないです。カトリック教会は、1983年に断食の義務を廃止しました。しかし、ポーランドではその義務が廃止されたのは2003年です。なのに、今でも断食が勧められます。

 2017年に調査機関が実施した調査によると、76%ものポーランド人がクリスマスイブに肉を食べません。しかし、人口の17%は肉を控えることができないので食べるそうです。7%は明確な答えを出すことができなかったみたいです。

 アルコールに関しましては、実のところ、詳細を知らない人が多いです。別の調査機関が 2016 年に行った調査によると、ポーランド人の半数以上がクリスマスイブにアルコールを飲むといいます。 全てのクリスマスの日(12月24、25、26日)を詳しく調査して、成人であるポーランド人の 92%が飲酒することがわかりました。


 ポーランドで最も人気のあるアルコールはウォッカとビールですが、クリスマスのために、ほとんどの場合、ワイン (86%)、ウイスキー(35%)、リキュール (29%)を選びます。キリストがワインを飲まれたことから、ワインが多いです。

長文で申し訳ございません。いろいろご紹介したかったです。お読みいただき誠にありがとうございます。

 年末が近づいてまいりました。佳き年をお迎えくださいませ!皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。これからもよろしくお願いいたします。

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